Miyashita Mariko

2010年11月アーカイブ

五線譜の詩

そごう広島店で開催中の「五線譜の詩」グループ展に併せて11月20・21日と広島に出かけてきました。

20日はギャラリートークイベントがありました。

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広島に行くのに飛行機を使ったのですが、紅葉のハイシーズンだった為にいい時間の便はどれも満席という状況でした。

 

さらに、空港からの高速道路が渋滞で、市内に出るまで1時間以上かかってしまい、ギャラリートークの開催時間を5分遅刻するという事態になってしまいました。

 

来場のお客様には失礼しました。。。

 

 

上空から見た広島の景色は木々の彩りが豊かで、それはとても美しいものでした。こんないい季節に広島で展示ができるなんて幸せでした。

 

 

 

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今回の展示は新作6点を展示しておりました。

広島での展示も2回目となり、前回から楽しみに着てくださるお客様も増え、展示の為に広島へ出向くことも楽しみになりました。

 

 

 

年明けの1月には巡回展で池袋西武本店でも展示いたします。

2週間の長い期間になりますのでギャラリートーク以外の企画も考え中です。5名でのグループ展ですので、それぞれの作家との共演ということで個展とは異なる楽しみを見ていただければと存じます。

 

酉の市

日本のお祭りや古い風習が好きなので、よく見に行きたくなります。

今年は酉の市に行きたくなったので、11月19日(二の酉)に行って見てきました。

普段閑散としている大鳥神社が、この時ばかりは大賑わいでした。色とりどりの熊手に裸電球・・・それを見ているだけでも縁起がいいような気がするので不思議です。

神社で御参りをして、蝋燭を奉納し、お神酒をいただき、熊手を買って帰ってきました。

 

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私が買った熊手は豪華なものではなく、熊手に稲穂がつけられて、金箔押しされているシンプルなものでした。

本来、熊手に稲穂だけのシンプルなものが始まりだったそうですが、そこに賑やかさを加えるのに「おかめ」の面をつけたり、色々な縁起のいい装飾が増えていったとのことです。

 

家内安全よりも、健康祈願よりも、学業成就よりも、商売繁盛の神様。

 

しかし、最近のご時勢を繁栄してか、商売繁盛も家内安全も、さらに合格祈願までも熊手でかき集められるように護符を貼り付けて売られていました。

 

 

大きな熊手を買ったお客さんに独特の手拍子と威勢の良い掛け声で縁起よく囃子立てる様子はまた面白く、また来年、買った熊手を返納しに御参りに来るのが楽しみになりました。

息を呑む程

今日の空が美しかった。

夕焼けに染まりかけた雲、どこまでも遠く光る空。

 

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ハッと立ち止まって身動きができなくなる・・・心に響く色というのは時に全ての感覚を奪うような錯覚を起こす。

 

 

ただただ見つめていました。

 

ほんの一瞬の煌きのような美しい空は5分も続かずに闇へと移り変わっていきました。

 

 

美しいものはまた儚い。

 

 

 

 

 

 

そんな一瞬を・・・長い時間じゃなくていいから、少しでも多く、できるだけ沢山・・・体験したいと願ってしまいました。

昨日、大学院でお世話になった有賀祥隆先生のお誕生日に併せた古稀の御祝会が上野精養軒でありました。

 

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有賀先生は日本美術史の大先生で、仏教美術をご専門になさっており、大学の教員から文化庁のお仕事まで、日本の美術品に関することには関わらないものがないほどあちらこちらで引っ張り凧の先生です。

 

かく言う私も、博士過程では有賀先生とマンツーマンの指導を週に1日与えていただいて、ミッチリ手ほどきを受けました。

 

博士論文の副査もしてくださり、学術的な裏付けを得るのに色々と勉強させていただいて大変お世話になりました。

 

 

先生とお話していると美術史に関することは何でもご存知で、まさに生き字引でした。

 

DSCN2797.JPG今思えばとても贅沢なことだと思います。

 

そんな知識豊富な有賀先生の特技(?)というか趣味は「ダジャレ」を言うことでした。

先生は学生との授業の時や美術品の閲覧などでよくメモを取っており、いつも持ち歩いてるノートには沢山の情報を書き込んでいました。

 

サンスクリット文字や凡字といった読めないものから、時代考証、材料資料、関連書籍、学生が何を研究してどういう問題を抱えてるか・・・様々な情報が書き連ねられていました。

 

 

そのノートに眉間にシワを寄せながら黙々と何か書いている姿がとても印象的で、ある日、そのノートを書いているのを横で覗いてよく見たらダジャレのネタで驚いたことがありました。

 

人と接する時は春風の如く、自分を律する時は秋霜の如く・・・そうお話になる有賀先生はまさに春風のような先生で、とてもマジメでとてもユーモアのある先生でした。

 

板絵

日本画の基底材料の代表的なものは和紙や絹本がありますが、古来より板に描くこともなされていました。板絵と言って思い出すのが、京都の養源院にある俵屋宗達筆の杉板絵(重要文化財)で、私の好きな板絵の一つです。

 

先日、ご注文があったお客様のご自宅の和室(本床)に飾る板絵の納品に行ってきました。

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今では珍しくなった大きな日本家屋、12畳の和室・・・書院造に作られた本床の袋棚の地袋(袋戸)の注文でした。

袋戸を杉板に変えてそれに作画し、漆の枠をはめ込みました。

 

板に絵を描くには下地の処理に時間がかかり、絵具が剥落しないようにアク抜きや捨て膠という剥落留めを施さなければなりません。

 

さらに、板目を大切にして描くので失敗は許されないとても根気と集中力の必要な作業となりました。

 

 

 

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 >>「月下遊蟲図」

 

今回の作品はヤマガシュウ(山何首烏)を天然の群青で描き、その間にトンボ・カマキリといった縁起のいい虫(勝虫と言われる)をあしらい、銀箔の月と併せてデザインしました。

 

天然石の特徴を活かし、群青(アズライト鉱石)のもともとの岩石の色味の違いで様々な青色を使って描いています。

トンボはプラチナ泥を使っています。

 

全て天然の絵具や材料で作られた板絵はこの先長く楽しんでいただけるように、長く保存される技術を駆使して描きました。

 

 完成までとても苦労した作品でしたが、納品してお客様に喜んでいただいた姿を見たら、それだけでこれまでの苦労が一気に晴れました。

 

秋の信濃路

先週末、法事の為に長野へ出かけていました。

ちょうど紅葉のシーズンに入ったかな?という雰囲気で気候もよく、チョットした息抜きになりました。

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萬松山興善寺は臨済宗妙心寺派のお寺で、石庭が東福寺なども手がけた日本を代表する庭園師重森三玲の作で、とても赴きのあるお寺です。

 

毎年父母に連れられてお盆に御施餓鬼(法要)とお墓参りにきていましたが、ここ何年も忙しいことを理由に足が遠のいていました。

 

久しぶりに開経偈(かいきょうげ)から始まり、般若心経、座禅和讃を唱えました。

 

 

 

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興善寺は我が家の菩提寺でもありますが、木曾義仲の菩提寺でもあります。

 

日々の生活とは全く異なる時間と空間を過ごしました。毎日制作しているとどこか焦ったりうまく行かずに悩んだりしますが、少し離れてみることでまた整理されることもあるようです。

 

俯瞰して見たり、冷静になってみたり、時には休息もありがたいものだと感じました。

自分に足りないモノを補おうと努力するのはいいことだと思っていましたが、度が過ぎるとないモノを欲しがりすぎて手に余ることもあります。

何事も適度なのがいいようです。

 

心のバランス感覚を大切にまた日々制作に邁進しようと思いました。

 

 

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